2012年5月31日木曜日

山は文化を抱く-修学院駅から八幡前駅

叡山電鉄嵐山線修学院駅から八幡前駅。5.1km、60分。

今日こそはと、東山に沿って地球研に行こうと計画した。曇りで暑くもなく、寒くもない。烏丸御池から地下鉄を乗り継いで、修学院駅で下車。ここから曼寿院の方向に向かう。山とのどかな田畑が広がる。ちょっとだけ移動するだけで、京都ではまちの縁(へり)に行きつき、その縁は山で囲まれている。南禅寺から哲学の道を通って、銀閣寺までは歩いたことがあるが、それより北の縁は、未踏の場所だった。本日のてくてく通勤は、北東の縁の踏破である。
山の斜面は緩く、修学院離宮の前を抜けて北に進む。ゆたかな街が広がり、農家と混在している。歩いていて爽快なルートである。きっと、ほんの30年前この辺はもっと木々で鬱蒼としていたにちがいない。いくつかの川がある。高野川を渡り、蓮華寺でちょっとだけ一休みした。江戸時代に建てられた庭園がある。眼の保養、気も充実する。京都のてくてく通勤には、時々庭を覗くのもいい。
叡山電鉄の八幡前で再び電車に乗って、精華大学前まで。本日、講義をお願いしている写真家の野本ヒロユキさんと偶然乗り合わせる。ゆっくり歩くと、いろんなことを考えて、眼が肥え、頭も冴える。早起きは三文の得、てくてく通勤は眼と頭と心の得。

2012年5月29日火曜日

晴れのち、雷雨-松が崎から地球研

京都・松が崎駅-地球研、5キロ、54分。
 先週は、横浜からお招きした旧友の建築家、小嶋さんと精華大学建築学科の学科長、鈴木隆之さんたちと泥酔し、体調すこぶる悪し。その前に、福島に行ったり、東京往復したりで、さらに不具合が出ていた。
 
 久しぶりに本日歩く。家から地下鉄で松が崎駅まで行き、そこから山を越える。先週くらいに歩いた道の反対で、宝ヶ池に出て、絶景を拝んだ。宝ヶ池は、18世紀に造られた灌漑池だそうな。国際会館、比叡山とそろった姿は美しい。
そこから円通寺を回ったところで、雲行きが悪くなって、夕立ち、雷雨。気持ちいいてくてく通勤も、多難である。これまた人生と同じ。

2012年5月21日月曜日

高きは、比叡山!

今出川駅から比叡平。1時間50分。9.6km。山科から京都への道を簡単に歩けたことをいいことに、今度は東側にそそり立つ比叡の山をてくてくと越えようと、思い立った。比叡平という瀟洒な住宅地が広がり、そこからの眺めは絶景ですよ、と知人の口車につい乗せられて、日曜日の朝11時に出かけることにした。iphoneの地図が生命線で、チョコレートふたつ、おにぎり二個とお茶をコンビニで買ってでかけた。
近江から京都への志賀越道というのもちょっと魅力だった。今出川駅から京大を通り、白川を抜け、志賀越道に入る。車が通らない道は、とてもいいのだが、びゅんびゅん飛ばす車は歩行には危ない。特にうねうねした山道は危険だ。平家の落人村だといわれる山中村を通り、2時間かけてやっとのことで比叡平に到着した。1960年代後半に開発された高原リゾート地は、比叡山にはややふさわしからぬ状況で、しかも今では3000人の住宅地と化している。
 2時間というのは、ぼくの現在のてくてく能力ではやや過分だった。疲労困憊、かといって、それを慰めてくれる絶景も見当たらない。上を見上げると、さらに倍の高さに比叡山が屹立する。ちゃらちゃらのえこえこてくてくでは、無謀な高さだ。近江からだたらなんとかなるかもしれない、そう思ったが、それは次回のお楽しみにする。バスが来たので、岡崎二条まで、20分で着いた。いつもは田舎に見える、京のまちも、にぎやかに見え、改めて感動した。

2012年5月19日土曜日

山科から岡崎まで、5.2キロ。

京都、山科駅から岡崎、好日居まで、5.2キロ、約50分。
久しぶりに週末に京都にいる。京都・岡崎百人百景の茶話会が土日に、岡崎のまちの会場、好日居で開催されるのを機に、行ったことのない場所を歩こうと考えた。てくてく通勤ではいけないところで、しかも、面白い場所、さらに言えば快適な歩行ができるルートがいい。烏丸御池のアパートから地下鉄で山科駅まで行った。そこからてくてくと、茶話会の会場まで歩くことにした。
東山あたりを散策するといつも気になるのが、蹴上ふきんの道である。山科駅から旧東海道をたどって、山を越え、京都岡崎に入る。昔からの街道沿いの面影が少しだけ残っている。多くのひとびとがこの道を通って、京に上り、江戸に下ったはずだ。車の往来が頻繁なのは玉にきずなのだが、山を越えて京都が見えると何か感動した。

2012年5月18日金曜日

アーバンウォーキング-てくてく通勤日誌3

2012年5月18日(金)品川駅~東大生研。9.1キロ、約1時間50分。
御調子ものなので、ついついてくてく通勤に励んでしまう。早朝京都を発って9時半に品川駅についた。のぞみの中で、今日のてくてく通勤を熟慮した。前回は渋谷から生研までだったので、今日は別の道を歩きたかった。品川から恵比寿、品川から渋谷、えーい、生研まで、と次第に頭にのって、ついに敢行してしまった。白金台を通って、恵比寿に出て、旧山手通りを通って、代官山に抜け、駒場東大前に。白金台あたりは坂がたくさんあり、大きな緑と小さな緑が混在している。歩きやすい道のある地域は、きっと住みやすいだろう。広い道路がある街は、照り返しが多くて歩きにくい。さすがにこの道にはシカはいないが、猫の帝王に出会った。目黒の自然公園の裏手に立つ電柱の上に座り、世界を睥睨していた。
途中、代官山に最近できた蔦谷書店に寄り道して、まち歩きの本をさがす。山歩きは多いが、まち歩きの棚がない。iphoneに入っている地図のアプリに頼って歩いているのだけれど、それが本当にいい道なのか定かではない。アーバンウォーキング用の地図アプリが欲しい。ついでにそれには明治くらいの昔の地図がはいっているともっといい。

58歳にて、ひと、歩く-てくてく通勤日誌2

2012年5月17日。朝、京都北山駅から山を越えて地球研まで。3.4キロ、約40分。昨日のてくてく通勤の終了間際、地球研の高野さんに出会った。自転車通勤の高野さんはいろいろな道を知っている。円通寺道はいいですよ、少しだけ山に入るとシカに会いますよ。助言に従って、岩倉への古道のような細い山道を通って行く。集落を離れて山道を歩き始めると、ごそごそと音が聞こえる。小さなシカだ。ちょうど58歳の誕生日、なにかいいことがある予感がする。

帰りは、地球研から国際会館までバスで行き、そこから山を越えて松ケ崎駅まで。宝ヶ池をぐるっと取り巻いた道は絶景だった。京都に来て思ったのは、まちと自然の近さだった。鴨川がまちの中を流れているのはとても贅沢なことだ。そして、この宝ヶ池も京都というまちの緑の至宝だ。本の30分だけ寄り道をして通勤するだけで、身体の中に元気がみなぎってくる。一年、ゆたかに暮らせそうだ。

2012年5月16日水曜日

てくてく通勤日誌の始まり

58歳の誕生日を明日に迎えるその前日に、新しくブログ「えこえこてくてく日誌」を始めることにした。京都に居を移してもう3年がすぎる。東京でも仕事があり、行ったり来たりの非人間的3年でもあった。でも、一方で、京都について、以前より少しだけわかった気にはなっている。それでも、さらに深く知りたい気持ちはいつも持っている。だから、とにかく歩くことにした。
本日の「えこえこてくてく通勤」は、京都の地下鉄烏丸線北山駅を降りて、そこから北に向かって地球研まで歩いた。ほぼ4キロ、40分くらいがかかった。途中に深泥池があり、山を越え、円通寺の前を通って、てくてくと。初夏の風に吹かれ、みどりの薫りに包まれ、春ゼミの声を聞く。こうした小一時間の散歩で、自然の恵みを体感することが、とても重要だ。都市の未来を考える際、ぼくは「歩くこと」にこだわることにした。